日立台地の地盤地質

 

日立台地の地盤地質図

概要

この度、当社では会社創立以来44年間に亘って蓄積されてきた日立市街地及びその周辺のボ−リング資料を取りまとめ、 「日立台地の地盤地質図」として集大成しました。

地盤図作成にあたっては、約5000箇所のボ−リング資料から2400箇所余のデ−タを抽出し、 できる限りこの地域の地盤状況を表現しました。 一部の区域についてはデ−タ不足の感が否めない所もありますが、今後さらにデ−タの補完をしていくことにより、 より充実した内容になっていくものと考えております。

この資料が土木・建築などの建設事業や地盤災害(地震災害・土砂災害等)など防災面の各分野において活用できるよう作成しております。

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日立地域の地形

日立市街地は、西側の多賀山地(阿武隈山地南端部)と東側の太平洋に挟まれて、 略南北に帯状をなして広がる標高20〜50m程度の台地面(日立台地)を中心に発達しています。

この日立台地は、幅約1.5〜3kmで、南北約20kmに亘って細長く続き、台地面は東側に緩やかに傾斜し、 東端は太平洋と接していて、海岸線に沿っては高さ20m程度の海食崖の形成されている所が多く見られます。

日立地域の台地面の多くは平坦な段丘面を形成していて、 標高20〜30m程度の低位段丘面と標高30〜50m程度の中位段丘面が発達しています。 台地面は多賀山地から流出する宮田川・桜川・鮎川などで代表される多くの中小河川の浸食によって東西方向に分断されて、 各河川の両側や台地に刻まれた谷部の両側には浸食崖の急崖斜面が連続しています。

また、海岸線に沿っては台地面先端の海食崖と河口部の海浜とが交互に続いています。

日立台地のうち、日立市街地の中〜南部にかけては比較的平坦な台地面を形成していますが、 北部では台地面は高度を増して標高50〜100m程度となり、台地面は半島状に張り出したやや起伏の大きい丘陵性の台地面を形成していて、 丘陵性台地の縁辺部には台地を浸食して形成された沖積低地面が台地内に湾状に深く入り込み、台地面と沖積低地面との境には比高20〜30m程度の急斜面も多く見られます。

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日立台地及びその縁辺部の地質

日立台地及びその縁辺部の地質の分布状況については、「日立台地の地盤地質図」に示されていますが、この地域は以下のような地質で構成されています。

日立市街地の西側に連なる多賀山地には、2億年以前(古生代)の日立古生層・変成岩類・深成岩類や 約1億年〜6400万年前(中生代:白亜紀)の深成岩類などの古い地質が分布していて、硬い岩盤を形成しています。

多賀山地の前面(東側)に太平洋岸に沿って細長く伸びて広がる平坦な日立台地や丘陵性の台地及び標高100m程度以下の丘陵地には、 新第三紀の中新世末期から鮮新世にかけて堆積した地層(900万年〜600万年前)が分布しています。
これらの地層は多賀層群と呼ばれ、地層は泥岩・凝灰質砂岩などの比較的軟質な岩盤から構成されていて、 日立台地や丘陵性台地では基盤を形成して、上位は未固結の第四紀層で被覆されています。 また、日立市街地の北部から高萩市方面にかけての多賀山地の麓に沿った丘陵性台地や丘陵地には多賀層群よりも古い地層(6400万年〜2600万年前)が分布していて、 この地層は白水層群と呼ばれ、砂岩・頁岩などから構成される地層には石炭層を挟在していて、戦後の昭和30年代頃まで石炭が稼行され、 これらの地層は太平洋岸に沿って嘗ての常磐炭田へと伸びて分布しています。 台地や丘陵性台地で基盤岩を構成している中・古生層の日立古生層・深成岩類及び第三紀層の白水層群・多賀層群の上位を被覆して分布する 第四紀層(200万年前以降)は洪積層(200万年〜1万年前)と沖積層(1万年前以降)から構成されています。 日立台地及びその周辺に分布する洪積層は成田層相当層・段丘堆積物・関東ロ−ム層などから構成されます。 成田層相当層は洪積世中期のミンデル・リス間氷期(38万年〜24万年前)の海面上昇期(下末吉海進という)に堆積した浅海成の地層で、 主として淘汰のよい淡褐灰色を呈した均質な細〜中粒砂を主体とした砂層から構成され、クロスラミナ(斜葉理)の発達や砂鉄質のところも見られます。 成田層相当層の砂層は、日立市街地北部の砂沢町・小木津町から市街地南部の大久保町・金沢町にかけて多賀山地の麓に広がる 標高40〜100m程度の丘陵性台地及び緩斜面台地に分布しています。 その主な分布域のうち、市街地の中部〜南部にかけての国道6号線付近から西側の区域では台地面の下に20〜30m以上の厚さで分布しているところがあり (大久保町・金沢町・千石町・末広町などの区域)、この地層の堆積時期には浅い海域が多賀山地の近くまで入り込んでいたことが考えられます。 北部での分布は県道日立・いわき線の西側の区域となっていて、これらの地域では層厚が最大20〜30m以上を示しているところもあり、 北部の砂沢町では山砂として採掘されているところもあります。 成田層相当層の基盤をなす地質は、市街地の北部では、多賀山地から延びる花崗岩類・日立古生層と古第三紀層の白水層群が多く見られ、 市街地の中部〜南部では、日立古生層のほかに、多賀層群よりも古い地層と考えられる礫岩層を主とする中新世の第三紀層が基盤岩層として多く確認されます。 また、成田層相当層の砂層は、日立台地の標高20〜50mの平坦な段丘面で基盤をなす多賀層群の上位に分布しているところもあります。 北部の十王町伊師地区周辺・宮田川河口部北側の本宮町〜東町付近・南部の大みか町〜久慈町付近などです。 段丘面の下位に分布するこの砂層の上部にはしばしば粘性の強い火山灰質粘土(常総粘土層あるいは茨城粘土層と呼ばれる箱根火山に由来する降灰堆積物)が分布しています。 多賀山地の麓の標高40〜100mの丘陵性台地及び緩斜面地域に分布する成田層相当層と 日立台地の標高20〜50mの平坦な段丘面に分布する成田層相当層とはその分布高度や分布形態から、 前者は水戸市西部から友部町にかけて広がる友部丘陵に分布する友部層に、 後者は水戸市及びその周辺の標高30〜50m程度の平坦な台地に分布する見和層に対比できるとも考えられます。 このような成田層相当層の分布形態や分布区域及び基盤を構成する日立古生層・深成岩類や第三紀層の白水層群・礫岩層・多賀層群などの基盤岩の分布状況から、 多賀山地と平行するようなNNE−SSW性の地質境界線が国道6号線付近に沿って存在している可能性も考えられます。 洪積層の段丘堆積物は、洪積世後期(15万年〜1万年前)の氷河の消長に伴う海水面の変動により形成された平坦な段丘面を形成する堆積物で、 その高度分布から標高100〜150m程度の高位段丘面・標高30〜60m程度の中位段丘面・標高20〜30mの低位段丘面からなる3段の段丘面が見られます。 段丘堆積物の土質は主に砂礫層から構成されていて、厚さは何れも10m以下で分布していますが、場所によりしばしば砂や粘土を伴っています。 高位段丘面は多賀山地の中腹から下腹部にかけて点在的に見られる比較的平坦な地形面で、現在その多くの場所は大規模な住宅団地として開発されています。

中位段丘面及び低位段丘面は、日立台地の平坦面を形成する地形面で、市街地の殆どはこの地形面上に発達しています。

日立台地の段丘面は海岸段丘を形成し、段丘面の先端は海岸近くまで広がっていて、太平洋岸に沿って高さ20m前後の海食崖が延々と続いています。

洪積世後期のこの時期には赤城山・富士山・箱根など各地で火山活動が活発になり、これら火山の噴出物が関東及びその周辺に広く堆積しました。

この火山噴出物が関東ロ―ム層で、噴出時期の古い順から下末吉ロ―ム層(常総粘土層)(12.5〜7万年前)・武蔵野ロ−ム層(7〜4万年前) ・立川ロ−ム層(4〜1.2万年前)に区分され、段丘堆積物と対応して地形面区分の指標となっています。

日立地域においては、平坦な日立台地に分布する成田層相当層の上位で、中位段丘砂礫層の下位に分布する凝灰質粘土層(常総粘土層または茨城粘土層)が下末吉ロ―ム層に対応しています。

武蔵野ロ―ム層及び立川ロ−ム層は新期ロ―ムとして扱われ、これに対応する風成火山灰の褐色ローム(赤土)・鹿沼軽石層(鹿沼土)は 日立地域の丘陵地・台地において表層部に5m以下の厚さで被覆層を形成して分布しています。

日立台地の台地面は多賀山地から流出する多くの中小河川によって東西方向に分断されていますが、日立市街地の中部〜南部にあたる宮田川以南では、 河川によって台地が深く刻み込まれていて、河川の両岸は急崖を形成していることが多く、河川沿いに沖積地は殆ど見られず、 僅かに河口部に狭小な沖積地が発達している程度です。

これに対して、市街地北部にあたる宮田川以北では、台地を浸食して形成された沖積低地面が台地内に深く入り込み、河川の流域に沖積低地が発達しています。

このような北部と中〜南部とでの沖積谷の発達の違いが何に起因しているのかは明らかではありませんが、 基盤岩(主に多賀層群)の地層の相異あるいは硬軟の差・背後の多賀山地の地質の違い(北部地域は花崗岩類の分布域、中〜南部は日立古生層の分布域)などが影響しているかも知れません。

十王川流域では幅300〜500m程度、折笠川流域では幅200〜300m程度、東連津川流域では幅300m程度、 田尻川流域では幅100〜150m程度、北川及び所沢川流域では幅50〜200m程度の沖積低地が発達しています。

これらの沖積低地には砂礫・砂・シルト・粘土・腐植土などから構成される厚さ5m以下の沖積層が堆積しています。

北部の十王川流域では砂礫層が主体ですが、折笠川・東連津川・田尻川などの流域では軟弱な粘性土層を主体として軟弱地盤を形成しているところもあります。

一方、日立台地の南側に広がる久慈川及び茂宮川流域の久慈川平野には、 ルーズな砂と非常に軟らかい粘性土から構成される厚さ40m以上の沖積層が堆積していて、厚い軟弱地盤が形成されています。

また、日立港へ流入する瀬上川に沿う久慈町の瀬上川低地には、内湾性の非常に軟らかい粘性土が30m以上の厚さで堆積し、同様に軟弱地盤が形成されています。

海岸線に沿って断続的に発達する狭隘な海浜には砂質土からなる沖積層が10m以下の厚さで分布していますが、 北部の伊師浜海岸から高萩の海岸にかけては、沖積低地の前面に海浜が広がり、海岸線に沿って砂州が発達していて、 砂質土及び礫質土からなる厚さ10〜15m程度の沖積層が堆積しています。

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日立台地の地質分布と地盤種別

日立台地及びその縁辺部に分布する地質は、表−1のような地層で構成されています。

この地域の地層の分布状況から、それぞれの区域の地盤は表−2に示す12タイプの地盤種別に区分することができます。

また、地形面区分に従って各地区における地質の分布状況を示すと表−3及び表−4のようにまとめられます。

≫ 日立台地の地盤地質図

※表をクリックすると別画面でPDFファイルが表示されます。

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